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(11) 新聞に載ったワケ


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(カレンの思い出・その5)


先に新聞に3回も載ったと書きましたが、そのワケをお話いたしましょう。

若き頃老人ホームに2年ほど勤めたことがありますが、その在職中のこと。

ある篤志家が京都市役所を通じて高価な犬を3匹
(月給が2万円にも満たぬ頃の一匹なんと十万円!
恵まれぬ老人たちの慰めになれば,と老人ホームへ寄贈する旨の記事が
美談として読売新聞の全国版に載ったのであります。

何日かのち篤志家から市長に贈呈される様子が
今度は地方紙に写真付きで載りました。

そのまた数日後、市役所より「犬を飼わないか。」との連絡がありました。
座敷で飼う犬で、しかもまだ生まれて間なしの仔犬とのことなので
職員一同で相談いたしました。

健康な老人も大勢いるとはいえ、
皆4人相部屋なので、犬嫌いもいないとは限りませんから、
部屋で飼うわけにはまいりません。

それで「住み込みで独身の職員が成犬になるまで世話しない限りムリ,
せっかくやけどお断りイタソウ。」

と話がまとまりかけた時、「なんならボクが世話しまっせ。」
ワタクシが名乗りを上げたわけであります。

こういう経緯でやってきた仔犬に初対面したときオドロキました。
片手の掌に乗るほどの大きさではありゃしませぬか!
エライことを引き受けたもんやわい,というのが正直な気持ちでありました。
(他の2匹は市内の別々の老人ホームにもらわれていったと後で知りました。)

さて一カ月くらい経って同じ地方紙から、
(お年寄りを慰めている)犬の様子を取材にやってきました。
年寄りに抱かれている写真が翌日だったかの紙面に載って、
カレンという名と、ついでにその世話係として
私の名前までもが紹介されたのであります。(これで3度目)


当時のカレン


後日談


カレンがホームにやってきて半年くらい経って
(詳細は省きますが、その間のクローはそれはもうタイヘンでござった。)
ある事情でやむを得ず退職することになりました。

その頃にはもうキワメテ強いセイシンテキ絆で結ばれておりましたし、
どうしたわけか、カレンも私以外の者には懐つこうとしません。

それでこのまま別れるのは忍びなく
園長と篤志家の了解を得て自宅へ連れ帰ったわけなのであります。







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