あ |
弱肉強食,飢餓,貧困.病苦,死別,大量殺戮……。 「全知全能の神様がすべてのものをお創りになったというなら、どうして命の世界はこん 誰でも子供のころ、こんな素朴な疑問を抱いた覚えがあるのではないでしょうか。確かに 考えてみれば、これは「子供じみた疑念」として一蹴するわけにはいかない、神の教えの 神の教えの伝達者たちは、この当然の疑念に答えなくては己の存立が危うくなりかねませ 「それは、慈悲深い神が人間に自由な心という最高の贈り物をお与え下さったからだ。さ でもこういう釈明が矛盾していることに、当の聖職者ご本人たちでさえ気付いてないよう 大抵の教えは説いています。いつの日か全人類が心の成長を果しこの世を理想世界にする であるなら、その暁には誰もが自由な心を失っていないはずです。成長して操り人形に堕 そんなまやかしの理屈に惑わされてはいけません。実はこれにはふか〜い深いワケがある
見渡す限り花が咲き乱れ、蝶や小鳥に混じってエンジェルが舞い、宝石ばかりで造られた宮 ここは天国の真ん中。宇宙の大王「造物主」様のお住まいであるその宮殿では裁判が開かれ さて被告席に立たされているのは。――何と我が母なる星、地球の守護神ガイア様ではあり 造物主様が重々しく宣言なさいました。「開廷!これより被告を、守護神の掟の第一条違反 最大限の努力を払うべし。』とあります。 「ワシは皆も知っての通り、守護を任せておる星ボシの様子を定期視察(定期といっても地 ここまで言うと眉間に皺を寄せガイア様に向き直り、「ところがじゃ。今回の巡回ではから ここまでのたまいますと、傍聴席がにわかにざわめき出しました。あまりの信じがたい話に 「静粛に、静粛に!」と裁判長はお続けになりました。 いよいよ裁判長が「神権剥奪」を宣告なさろうとしたその時です。 ”お待ち下さい!” と切迫した声が響き、ガイア様の妹、月の守護神ルナ様が誰かを連れて法廷に入ってきまし といいますのは、神々の誰もが初対面のその同伴者というのが、それはもう例えようのない 万物を創造したはずの造物主様まで「おお何という気高さよ!」と思わず玉座を降りその前 でも何故か彼女は肩を震わせ泣いていました。その泣き声は造物主様をはじめ神々の魂を激 ルナ様の説明によれば、地球に命が芽生え、それが「苦しみと悲しみ」の成長するとともに 「そうであったか。ガイアよ、これは『怪我の功名』というやつじゃ。この天界至高の美神 「じゃが彼女をこのまま悲しませ続けるわけにはまいらぬ。」「掟を破ることになるが致し とのたまい、エイヤッ!とばかり気合いをかけられました。するとたちまちにしてそのよう しかしどうしたことか女神様の慟哭はおさまりません。怪訝に思いよくよく生命界をお調べ 「おお、ワシとしたことが!」とその最後の一匹もお救いになりましたところ、何というこ 造物主様はお慌てになりました。 「そうか、彼の女神は生きとし生けるものたちの悲しみ |
あ | |
ワシでさえ創造できぬ宇宙の女王を蘇らせ存続させねば、 何がための天界といえようぞ。 可哀そうじゃがやむを得ぬ、
を存続させんが為 地球生命に再び永久の苦しみと悲しみを与えようぞ。 |
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というようなわけで、全能の創造主様のおわしまし、歓喜の世界をお創りになれるにかかわ アッそうそう、この創造主をも超えた至高の美神様を見事に描いた芸術家が過去にたった一 その名はご存じベートーヴェン。「運命」の第二楽章をお聴きになれば、その中ほどに必ず 神について書かれた世界中の宗教書を集め山と積んでも、たった一分余りのその崇高な、余
それにしても造物主様というのは情けないお方ですね。私たち人間どころか、虫一匹にさえ劣る存在 |
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ということ |
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エッそんなこと言うとバチがあたるぞって? 心配ご無用、バチならとうの昔にあたっております。 お し ま い |
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